国内の企業
ワクチン開発は国内でも行われています。ただ、報道を見てみると、圧倒的に海外の研究に関する報道が多いです。その最大の理由は研究スピードの差です。前述のように、海外では臨床試験の第3相に突入し、企業によっては終わっている状態ですが、にほんではこれから臨床試験第1相という状態です。今冬は厳しいので、2021年以降の安定供給を目指したものになるでしょう。
一方で、「国産が安心」という声はありますし、また、流通の観点からも便利なので、研究スピード重視の海外企業とは異なる目線で注目を集めていると言えます。
以下、国内でワクチン開発を行なっている企業を紹介します。
塩野義製薬:非 臨床試験の最中で、臨床試験は12月から
鎮痛薬セデス、などでお馴染みのシオノギです。社名は創設者の塩野義 三郎さんから。
現在は、シオノギが買収しているアメリカのUMNファーマ、そして日本の国立感染症研究所(通称:感染研)と共同で研究を進めています。
ワクチン開発の段階としては、2020年11月23日時点で非臨床試験です。
今後の予定では12月から臨床試験第1相、2021年から第2相に入る予定です。
最終的な第3相は早くて2021年02月開始を見込まれています。
実用化について明言は避けていますが、現段階では2021年末までに3000万人分以上の供給体制を整える方針を取っています。
第一三共:こちらも非臨床試験の最中。臨床試験開始は最短で2021年03月
誰もが知るロキソニンS。開発したのが、この第一三共株式会社です。
グローバル展開もしており業界ではSANKYOとして知られています。
ワクチン開発は東大医科学研究所と共同で行なっていて、段階は非臨床試験です。
臨床試験第1相の開始は最短で2021年03月が見込まれています。
アンジェス:製薬ベンチャー。2020年11月~2022年03月でじっくりと第2、3相に取り組む予定
従業員数が50人未満の、いわゆる製薬ベンチャー企業です。ベンチャーと言うと、若手の企業なイメージがあるかもしれませんが、従業員の平均年齢は50歳を超えている、経験者揃いのベテラン集団です。
大阪大学やタカラバイオ株式会社と共同で研究を進めているため、ベンチャーでネックとなりがちなリソース不足については、ある程度緩和されていると言えるでしょう。
2020年11月から臨床試験の第2相、第3相を開始し2021年03月までに接種完了、2022年03月まで傾向観察を行う予定です。
海外と比較すると長いように感じるかもしれませんが、これでも通常のワクチン開発よりかはかなり早く、また接種完了時期も比較的近いので、バランスを考慮した妥当なやり方と言えるでしょう
KMバイオロジクス:こちらも非臨床試験中。臨床試験は最短で2020年11月から
KMバイオロジクスは東京大学医科学研究所や、前述の感染研、
国立の医薬基盤・健康・栄養研究所(通称:基盤研)と共同で研究開発を進めています。
多くの研究機関と異なり、生ワクチンではなく不活化ワクチンを取り扱っているのが特徴です。
生ワクチンがウイルスを弱めるのに対して、不活化ワクチンはウイルスを抹殺するイメージです。即効性はありますが免疫力の関係から、複数回の追加接種が必要と言われます。
(この辺りについては、別途まとめていこうと思います。)
こちらも現在は非臨床試験の最中で、動物実験で有効性評価を行なっています。
人体に適用される臨床試験は最短で2020年11月からを予定されています。
IDファーマ:こちらも非臨床試験中。臨床試験は最短で2021年03月から
IDファーマは医療関係の技術を取り扱うアイロムグループの1つで感染研と共同で研究を進めています。
その中でもIDファーマは、ウイルスの遺伝子情報を扱うセンダイウイルスベクターという基盤技術に力を入れています。
現在は非臨床試験の最中で、臨床試験に取り掛かるのは最短で2021年03月からとされています。
まとめ と 今後の動向
今回はワクチンの開発状況についてまとめました。
国内外で開発が進められていますが、下図のように、海外の方が明らかに早いですね。

ただ、海外のワクチンでも日本に届くのは早くて2021年前半と言うことなので、ワクチン実用化を考えると今冬はワクチン無しで乗り切るぐらいの覚悟が必要だと言えます。
ワクチンを早急に摂取したいという声もありますが、一般人がいち早くいわゆる治験に参加するのが最も早いと思います。ジョンソン&ジョンソンやファイザーのように、治験による不調が100%無いわけではありません。もちろん企業側も細心の注意を払って、体調管理をしてくれるので大事に至ることは少ないでしょう。
ただ、そういったリスクを踏まえた上で積極的に治験を使っていくことは、技術開発の点でも重要なので、機会が得られた人は怖がらずに挑戦して欲しいと切に願います。(日本人はリスク回避傾向にあるので、そういったことが臨床試験の足枷になってしまわないか、個人的に心配です。)
他にもワクチンの種類などの差があるので、そのような内容も理解していけたら、より安心して摂取できるのかなと思いますね。
ワクチンだけですべてが解決できるわけではありませんが、対コロナウイルスで重要な役割を占めるものではあるので、今後も国内の臨床試験の情報については要注目です。
以上
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