コロナ重症化で使われるエクモとは?仕組みやリスクを簡単に解説

ニュース

気が付けば今年ももう12月、いつもながら早いものです。今年はコロナ騒動でバタバタしていたこともあって、例年以上にあっという間に感じました。

しかし、政府や各都道府県が様々な対策を講じるも感染者、重症者は増える一方であまり良いニュースは得られません。そんな中、最近耳にする機会が増えているのがエクモ(ECMO)です。コロナ第一波、第二派の時にも聞いたかもしれません。

今回はエクモとは何なのか、どんな時に使われるのか、また後遺症や合併症のようなリスクは無いのか、簡単にまとめていきます。

エクモとは 仕組みを簡単に解説

エクモの基礎知識

エクモの名称と基本原理

エクモは心臓や肺が機能できなくなった時の補助的な治療法を意味するものです。その名称から治療を行う機器などと勘違いされがちですので、頭の片隅に置いておきましょう。

エクモ(ECMO)とは、ExtraCorporeal Membrane Oxygenationの略で直訳すると”体外で酸素化を行う膜”となり、専門用語で体外式 膜型 人工肺と呼ばれます。
膜型というのは人工肺の種類を区別するためのものであり、一言で言うならフィルムです。膜型は下図のように、フィルムの内側に酸素・外側に血液とすることでフィルムの隙間を通して血液の酸素化を行うものです。

(昔は膜型以外にも気泡型というタイプもあったようですが、現在は使われていないようです。こちらはその名の通り、血液中に泡をぶくぶくさせて酸素化を行うもので直観的にはわかりやすいと思います。)

膜型人工肺における血液酸素化のイメージ
エクモの種類

エクモには肺炎などの呼吸を補助するV-Vエクモの他、心臓などの補助を中心としたV-Aエクモなどがありますが、本記事ではコロナ重症者に使われることの多いV-Vエクモについて言及するものとします。

エクモにおける”ガス交換”とは?

この酸素と二酸化炭素の交換を”ガス交換”と言います。ガスと言うとコンロなどで使われるガスを連想しますが、化学的なガス(gas)は気体を意味するので、ガス交換を一般的に言うなら”空気の入れ替え”と認識いただいて大丈夫です。

エクモの構成要素

エクモの基本原理は上で紹介しましたが、実際はどのように治療が行われているか掘り下げていきます。
こちらについては日本体外循環技術医学会様がわかりやすいPDFを作っていたので、そちらから画像等を引用しながら説明します。

エクモ=人工肺+血液ポンプ+カニューレ

エクモは上述のように人工肺を用いて血液の酸素化を行うものですが、それ単体では血液の運搬などはできません。そのため、人工肺に加えて、身体と接続するための管であるカニューレや、血液の授受を行うための血液ポンプが必要となり、これら一体の構成を含めエクモと呼ばれることもあります。

カニューレは下写真のように針と管が一体になったもので、身体に刺した後、目的の部位まで挿入するために長く、曲がる形状になっています。(送血用と脱血用で太さは異なりますが、1cmもの太さの管が身体に入ると考えるとゾッとしますね…)

カニューレを挿入後、これと人工肺を結合することでエクモの治療が行えるようになります。

人工呼吸器との違い

人工呼吸器はサポートするためのもの、エクモ治療は肺の代わり

人工呼吸器はあくまで肺の補助をするものです。人工呼吸器が身体に送るのは空気や酸素で、これにより体内循環をサポートする形になります。

これに対し、エクモは肺の代わりとなるもので、そういった性質から人工肺とも呼ばれます。エクモは血液を一度、身体の外に出して、その血液のガス交換を行なって身体に戻すということを行います。

エクモを使うのはどんな時か

エクモを使うのは最終手段

上記のように、一般的な人工呼吸器よりエクモの方が体に及ぼす影響は大きいです。そのため、人工呼吸器だけでは回復を見込めない場合にエクモを使います。

エクモで生命維持を行い、その間に肺や脳などの手術等で根本的な解決を図ります。

人工呼吸器で大丈夫なレベルになった→エクモ終了

エクモを使用し回復傾向が見られたら、エクモの使用終了を検討します。

終了を判断する目安としては人工呼吸器で十分なレベルかです。エクモはポンプ流量などの設定で、人工呼吸器相当の設定にすることもできるので、それを数時間続けて問題なければ試験的な一時停止を行ないます。そしてその後も肺が機能していることを確認できればカニューレの除去等、本格的なエクモ停止へと移行します。

エクモ仕様に伴うリスク。後遺症や合併症は無いのか

コロナ重症化にはエクモが付き物ですが、気になるのは使用によるリスク。具体的には治療時に起こる合併症や、その後の後遺症が無いのかという点です。

エクモ使用時の合併症

出血に関する合併症リスクが高い

エクモ使用で最も多い合併症は出血とされています。身体と接続するカニューレが血管並みに太いことや、施術者が実践経験を積みにくいのも一因としてありますが、最大の要因は抗凝固薬によるものです。

エクモの天敵である血栓によって血液循環ができなくなることを避けるために、エクモ使用時は抗凝固薬の使用が必要不可欠です。これは血が凝固、すなわち固まるのを防ぐためのものなので、血液がサラサラになります。これによりカニューレとつながる部位や、手術を行う部位を中心とした部位で出血してしまい、大量の輸血が必要となります。

2016年に行われた研究では、出血を伴う合併症だけで30%~50%程度の確率で発生するという結果も出ています。出血が死に直結するわけではありませんが、ハイリスクなのはわかると思います。

使用後の後遺症

エクモ使用時のリスクは上記のように合併症による影響が大きいですが、後遺症も存在します。

体外循環により血流維持ができなくなることによる腎不全や、体外循環による依存での肺機能の低下などがあるため、エクモに頼り続けることはできません。

まとめ:エクモがあるから大丈夫という訳ではない!!

コロナ重症者にとっての最後の砦とも言われるエクモですが、その段階まで来てしまうと施術成功率は海外の治療で7割程度と言われています。また、上記のようなリスクも抱えているのでエクモがあるから大丈夫…ではなく、エクモを使用しなくても良い様に感染リスクを下げることが大切です。

もっと詳しく知りたい方は、わかりやすくまとめられた日本体外循環技術医学会のPDFや、動作や用法などについて細かく言及している東京医科大 八王子医療センターのサイトなども、ご覧ください。

以上

コメント

タイトルとURLをコピーしました