リンゴ日報の黎 智英さん逮捕&起訴。香港国家安全維持法との関わりをわかりやすく解説

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2020年12月11日、香港の新聞「リンゴ日報」の創業者である黎 智英(ジミー・ライ)さんが起訴されました。
香港だけでなく、他の国からも注目を集めているのは、起訴の罪状が香港国家安全維持法だからです。

今回はリンゴ日報の創業者ジミー・ライさんをめぐるこれまでの流れと、注目を集めている香港国家安全維持法について、わかりやすく解説していきます。

リンゴ日報とは?創業者、黎 智英(ジミー・ライ)さんの略歴

リンゴ日報について

リンゴ日報とは

日本ではリンゴ日報と呼ばれていますが、正式名称は蘋果日報(ひんかにっぽう)です。「アップルデイリー」などと呼ばれることもあります。
リンゴ日報は1995年に新聞業界へ進出を果たした、香港における中国語の日刊紙です。

蘋果日報の名付け親は後述のジミー・ライさんで、「アダムとイブがリンゴを口にしなかったら、世界に善悪はなく、ニュースも存在しなかっただろう」という意味合いを込めて命名されたそうです。理由がオシャレですね。

後発ながらも人気の新聞

他の日刊紙が1940年~1970年頃に創刊したのに対して、リンゴ日報の創刊は1995年と遅い方です。
しかし創刊後すぐに発行部数が香港第2位を記録するなど人気の新聞となりました。

芸能など軟派な内容が多い一方、反政府的な内容も…。

リンゴ日報の内容は芸能人の動向や、企業・政治家のスキャンダル、流行ファッションなど話題性に富んだ物が多いです。「読者が知るべきことより、知りたいことを伝える」と評されることもあります。

反面、政治的には香港や中国共産党に反対するようなものもあり、香港でも珍しい新聞です。
創刊し始めの頃から中国政府に対して厳しい批判をしていたので、中国大陸では発行が禁止されており、新聞社のウェブサイトには中国国内からのアクセスが遮断されるなど、中国政府からはかなり嫌われているようです。

創業者、ジミー・ライさんについて

様々な呼び名

創業者はジミー・ライさんで黎 智英と書き、「れい ちえい」などとも呼ばれます。
香港はイギリスの植民地でもあったので、英語名も浸透しているため世界的にはジミー・ライさんの名前が有名です。

twitterなどではJimmy Laiの名前で活動をされています。(英語もペラペラです)

幼い頃から苦労を重ねる日々

ジミー・ライさんは幼い頃から自ら稼いで生活をしていました。

出身は中国ですが、7歳の頃に父親が香港へ亡命してしまい、母親も労働改造所という中国の施設に送られてしまったため、8歳の頃から自分で稼いで生活する必要がありました。

ジミー・ライさんには妹や知的障がいをもったお姉さんがいたため、駅の荷物運びなどでチップを稼ぎ、二人を養いながら生活をしていました。かなりの苦労人ですね。

ジミー・ライさんをめぐる、これまでの流れ

ジミー・ライさんは、自叙伝の中国進出を禁止されたり、アメリカのスパイを疑われたりするなど、香港や中国政府からはかなり嫌われています。
そのような中で、公式的に処置された逮捕、起訴などについて代表的なものをまとめていきます。

逮捕1:2020年08月

香港国家安全維持法の施行後から1,2ヶ月で逮捕

2020年08月にジミー・ライさんが逮捕されたのは大きなニュースになりました。

ジミー・ライさん自身が有名人だということもありますが、罪状が同年06月末に施行されたばかりの香港国家安全維持法という点も話題を集めた理由でしょう。
(ジミー・ライさんは同年02月、04月にもデモ参加などにより「違法な集会に参加した」として逮捕されていますが、その時以上の注目度でした。)

この時は逮捕されてすぐに保釈されました。

逮捕2:2020年12月02日

今度は保釈が認められなかった

2020年12月上旬にもジミー・ライさんは逮捕されています。

今回の罪状は詐欺罪とされており、ジミー・ライさん個人ではなくリンゴ日報の関係者も逮捕されています。

前回と大きく異なるのは、保釈がされなかった点です。逮捕の翌日、裁判所は「逃亡の恐れがある」として保釈を認めなかったのです。これは他の関係者も同様の措置を受けており、ジミー・ライさんは上訴申請を行なっていました。

法律違反として起訴:2020年12月11日

香港国家安全維持法で起訴される

上の逮捕から数日後、今度は詐欺罪とは別の罪で起訴されることになります。
罪状は08月と同じく香港国家安全維持法ということで、こちらも大きなニュースになりました。

裁判所は「香港または中国に対して制裁や敵対行動を取った」としていますが、これは主にアメリカとのやり取りについて言及したものだと言われています。

日本でもこういった別の罪状を理由に勾留期間を延ばすやり方はありますが、詐欺罪の後すぐだったのもインパクトが大きいです。

次回公判は2021年04月、それまで勾留

次回の公開判決は2021年04月です。ジミー・ライさんは上訴申請をしていますが、現在の予定では次回まで交流されることとなっています。

香港国家安全維持法とは?

日本でのニュースを見ると、ジミー・ライさん個人だけでなく香港国家安全維持法に注目を集めていることがわかります。

この法律が施行される前からかなり注目を集めていますが、その理由はなぜでしょうか?要点を押さえて解説していきます。

法の概要

香港国家安全維持法について

正式名称は中華人民共和国香港特別行政区国家安全維持法です。かなり長いので、香港国家安全維持法や香港国家安全法などと略されることが多いです。
要は中国の香港における国家安全維持に関する法律です。

法が施行されるまでの流れ

2019年10月末にこの法律に関しての審議がされ、活動方針が定められました。

後述の理由から香港やマカオ、他の国からも非難の声が上がりましたが中国本土はこれを押し切って、2020年05月28日に草案の採択、そして2020年06月30日に施行されることとなりました。

この一連の中で香港立法会が審議に参加する機会は殆どなかったと言われています。

法の内容

法律の内容において、ポイントと言える点を以下にまとめます。

・犯罪行為と認めるのは「国家からの離脱、転覆行為、テロリズム、香港に介入する他国との結託」の4つ

・最低3年の懲役、最高で無期懲役もある

・香港の法律と矛盾する場合、香港国家安全維持法が優先

・裁判は非公開で行う可能性がある

・中国本土が深刻とみなせば、海外在住の香港人も法の対象となる

他にも色々ありますが、以上のような内容です。

非公開裁判などと聞くと、怪しい匂いがしてきますね…

非難を集めている理由

処罰の対象が曖昧

これは1つの法として見たときの非難です。

何を以てテロとするか、外国勢力との結託とは、中国が深刻とみなせば…といった点が曖昧なので、中国本土の見方によっては何でもありな法律とも言えます。

言論の自由が押さえつけられる懸念

法の内容から、言論の自由や抗議活動を押さえつける懸念があるのは明らかです。

これは他国で同様の法を作った場合も同じような非難が挙げられるでしょう。

一国二制度を揺るがす

さらに、香港は中国の特別行政区としての側面も持つため、より複雑です。

ここで出でくるのが一国二制度という考え方です。
一国二制度というのは香港・マカオに関する考え方で、この2つの国は中国本土とは分離した領域として、1つの主権国家として認められるという考え方です。

当然、香港国家安全維持法はこの考え方とはかけ離れたものであるため、この考え方が根付いている香港はもちろん、他国からも非難を集めていました。
法が施行された後も、香港を植民地化していたイギリスは「香港からの逃げ道を作る」という意思表示もしています。

まとめ

今回はリンゴ日報のジミー・ライさんの逮捕&起訴、そしてそれらに大きく関わる香港国家安全維持法についてをまとめました。

ニ香港国家安全維持法に関するものか否かで、ニュースの取り上げられる頻度が異なるように感じます。それだけこの法については世界からも注目を集めていると言えます。

ジミー・ライさんの件は、まだ裁判が終わっていませんので今後の判決や他国の見解にも注目です。

以上

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