2020年12月、世界中でワクチン開発が急ピッチで進められ、国の方針によっては既にワクチン接種を始めているところもあります。
基本的に臨床試験の結果をもとに、国の判断でワクチン接種に踏み切っていますが、中には臨床試験を終えないまま、接種を推進している国も…?
今回は世界各国における、新型コロナウイルスのワクチン接種の状況とそれを取り巻く政府の取り組みをまとめていきます。
※2020年12月14日 アメリカでのワクチン接種、イギリスでのアレルギー反応について追記
日本でのワクチン接種は来年の春以降
世界に入る前に、日本の状況から確認しましょう。
国内生産・輸入いずれにせよ試験に時間が必要
2020年12月09日現在、確定した情報はありません。
しかし多くの報道によると早くて2021年03月というのが濃厚なようです。
厚生労働省はワクチン接種のタイミングについて「少しでも早く、今年度中にも接種できるようになれば」と話しているようですが、臨床試験の後の承認などの手続きも必要ですし、供給量を鑑みると広く摂取できるようになるまでは時間がかかるでしょう。
↓ワクチン実用化までの流れについて知りたい方は、こちらの記事が参考になると思います。

日本としてはワクチン無しで冬を乗り切る覚悟が必要
海外ワクチンの輸入や国内ワクチンの早期開発に期待するのも良いですが、国として明確な接種タイミングを公表していない以上、はっきりとしたことはわかりません。
この状況の日本としては、2020年度の冬はワクチン無しで乗り切るという覚悟が必要です。
一方で、早期に接種された世界各国の情報をキャッチしておくことで「本当にワクチンを信頼できるのか」という点を見極めることができます。
世界各国のワクチン接種状況
アメリカ:ワクチン接種は秒読み
早ければ12月10日に承認→(NEW)12月14日に接種開始!
12月08日にアメリカ政府はワクチンの有効性、安全性を確認した旨を公表しました。結果はOKということなので早ければ12月10にも承認される可能性があります。
このワクチンはアメリカのファイザーとドイツのビオンテックが共同開発しているワクチンで、日本政府とも供給に関する合意が得られているので、結果が気になるところです。
ワクチン接種の計画などは公表されていませんが、現時点でバイデン(次期)大統領は「ワクチン接種を強要しない」と述べているようです。
※2020年12月14日追記
12月14日から、アメリカでもファイザー製のワクチン接種が開始されます。
歴代大統領がワクチンのイメージ向上に前向きな姿勢
ワクチン開発が急ピッチで進められたこともあり、ワクチン接種に対して慎重な意見は多いです。10月~11月にアメリカで行われた調査でも、ワクチン接種に対して58%が賛成する一方で、42%が反対するという結果が出ていました。
この状況を打破すべく、歴代大統領が立ち上がりました。
オバマ元大統領、ブッシュ元大統領、クリントン元大統領は、ワクチンに対する信頼を得るためにワクチン接種の様子を公開する旨の意思表示をしました。
アメリカの顔とも言える歴代大統領が率先して接種することで、臨床試験などとは違った安心感が得られるでしょう。
イギリス:世界に先駆けてワクチン接種を開始
12月08日、1人目のワクチン接種がニュースに
イギリスでは12月08日、ワクチン接種が始まりました。ワクチンはアメリカと同じファイザー&ビオンテックによって開発されたものです。
ワクチン接種の1人目であるマーガレット・キーナンという高齢女性がワクチン接種をする様子はイギリスで大々的に公開され、その様子は日本にも届けられました。
(NEW)患者にアナフィラキシー反応あり!
※2020年12月14日追記
ワクチン接種が開始され2日後、患者の一部でアレルギー反応(アナフィラキシー)が見られました。
対象の患者さんは元からアレルギー持ちの方でした。
これを受けてイギリス政府は「アレルギーを持った人はワクチン接種をしないように」と呼びかけています。
追記ここまで
最前線に立つボリス首相
イギリスのニュースでは、ボリス首相が医療現場などに積極的に足を運んでいるのが印象的です。首相自身が現地現物で状況を把握し、ワクチンの安全性についても力強く国民に公言しています。
ロシア:安全性の懸念が残る中、GOサイン
12月05日、ロシア産ワクチンの大規模接種開始。しかし…
12月05日、ロシアでは首都であるモスクワでロシア産のワクチン「スプートニクV」の接種が始まりました。
しかし、問題なのがこのスプートニクVの臨床試験が終わっていないことです。ワクチンは臨床試験をすべて終えてから実用化するのが一般的なので、このロシアの行動には多くの医療関係者から疑問の声が上がっています。
イギリスの動きを意識してPR目的もあってワクチン接種を早めた…とも言われており、あまり良い印象は受けません。
プーチン大統領は接種しない
世界中の多くの人に問題視されているのが、これほどまでにゴリ押しでワクチン接種を進めているのに、プーチン大統領本人がワクチン接種をしていない点です。
ロシアでは軍隊に関する人への優先接種を進めているのですが、そのトップとも言えるプーチン大統領はワクチンを接種していません。
理由について大統領府副長官のドミトリー・ペスコフ氏は「(安全性が)保証されていないワクチンを大統領が使用することはありえない」と述べていますが、アメリカやイギリスなど他国の動向と比較すると、どうしても上記のワクチン接種を後押しする状況と矛盾しているようにも見えていまします。
EU:加盟国の中でも動きはバラバラ??
EUでもワクチンの準備を急いでいます。EUは加盟国全体への分配用に様々なメーカーと供給の合意形成をしています。
一方で足並みを揃えることについて抵抗のある国も存在するため、動きが乱れつつあるという状況です。
フランス:12月03日時点で「あと数週間」
カステックス首相は12月03日の会見で「あと数週間」と述べました。アメリカのように秒読みとまでは行かなくとも、早ければ年内に間に合う可能性があります。
一方で、イギリスが早期に承認したことについて、「EUを離脱したこととは関係ない」と述べています。
ベルギー:2021年01月05日から
ベルギーのように接種開始を明言している国もあります。
ハンガリー:抜け駆けしてロシア製ワクチンを導入しようとしている?
ハンガリーはEUへの分配用ワクチンだけでなく、ロシア製ワクチンの導入を検討しています。
しかしロシア製のワクチンは、EUとして合意されたものではないのでEUからは警告の声がハンガリーに寄せられています。
中国:国産ワクチンを年内に
中国産ワクチンを年内に承認予定
中国政府は「6億回分の中国産ワクチンを年内に承認する。」と述べています。
1人あたり2回とすると、6億回分というのは3億人分に相当します。
中国はワクチン開発を外交に活用しようとしているという見方もあり、ワクチンに関する今後の動向に注目です。
韓国:急がず様子を見る国もある
他国の結果を見守る方針
ワクチン接種に関して急ピッチで進めている国が多い一方で、韓国は真逆とも言える考えを持っています。
韓国政府は「ワクチンの安全性を確認するために、他国での接種の結果を数カ月間見守る」という方針を示しました。
ワクチンの出荷は、早ければ2021年03月にも始まる予定ですが、このような方針から韓国はすぐにワクチン接種しない可能性が高いです。
まとめ
今回はコロナワクチン接種に関して、各国の接種に関する状況と政府の取り組みについてまとめました。
国によって方針や運用が全く違うので、日本ではどのように実用化されるのか期待して待ちましょう!
以上
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