2020年10月28日(水)17:45、俳優の伊藤健太郎さんが東京都渋谷区の交差点でひき逃げ事件を起こしてしまい翌日の29日、逮捕されました。
今回は、車を運転する全ての人はもちろん、その場に居合わせる可能性も含めすべての人が知っておくべきひき逃げに関する交通ルールについてまとめました。意外にもきちんと知られていないルール等も含まれているので、これを機に知っていただき、同じような過ちが繰り返されないことを切に願います。
2021/03/27 追記
03月25日、裁判の判決で伊藤健太郎さんの不起訴処分が決まりました。
これによって法的には前科がつかないことになります。
事故の状況
事故は伊藤さんがUターンをしようとしたところ、対向車線から来たバイクと衝突してしまいました。バイクに乗っていたのは男女2人で、男性は軽傷ですが、女性は5mほど飛ばされ骨折し重傷です。
(重症:命に別状はないが全治1か月以上が見込まれる大怪我。命にかかわる場合は「重体」)
特に問題視されているのはその後の行動で、なんと伊藤さんは数百メートル逃げてしまったのです。それを見た別の車が後を追いかけ、赤信号で止まっている伊藤さんに戻るよう呼びかけたことで現場に戻ることとなりました。

伊藤健太郎さんの悪かった点
伊藤健太郎さんが逮捕された容疑は2つで「自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)」と「道路交通法違反(ひき逃げ)」です。問題視されているのは後者の道路交通法違反ですが、それぞれについてどのような点が問題なのか掘り下げていきましょう。
自動車運転死傷行為処罰法違反(過失運転致傷)
こちらは「相手に怪我をさせたこと」に対する罪です。
法律 :旧刑法211条2項が基。詳細は平成25年法律第86号。
対象者:運転上必要な注意を怠って人を死傷させた者
刑罰 :7年以下の懲役もしくは禁錮、若しくは100万円以下の罰金
伊藤さんの場合Uターンをする側だったので、「対向車の確認をするという注意」を怠ったと言えるでしょう。
道路交通法違反(ひき逃げ)
こちらはその名の通り「逃げたこと」に対する罪です。事故を起こした人には救護義務と言う、被害者を助ける義務が発生するので、その違反ですね。
法律 :道交法117条第1項+道交法72条第1項(救護義務について)
対象者:人の死傷を起こした運転者、および同乗者
罰則 :10年以下の懲役、若しくは100万円以下の罰金 (同乗者は1年以下 or 10万円以下)
これは一度でも現場を離れると適用されます。伊藤さんはその後戻りましたが、一度現場を離れてしまったので救護義務を果たしていないと言えるでしょう。
また法律とは別の問題で、伊藤さんのような有名人になると「逃げた」ことに対する人間性についても問題視され、そちらの影響も大きいでしょう。
ちなみに、似たような言葉に「当て逃げ」がありますが、こちらは物損に対して使うもので人身事故の時には基本的に使いません。「駐車場の車に擦ったまま逃げた」「家の塀にぶつかって逃げた」等が当て逃げの例となります。(一応、今回の被害者のバイクは物損扱いになるでしょうが、注目は人身の方ですので、今回のケースでは当て逃げはあまり適切な表現ではありません。)
事故を起こした時、どうすべきか
逃げずに警察に届け出る。そして病院へ
事故を起こしてしまった時は、まずは安全の確保を。そのあとで「逃げない」「救護」「警察へ連絡」この3つを遵守しましょう。とりあえず逃げないことが絶対で、三角表示板などで被害者と自分の安全を確保ましょう。救護や警察への連絡は周囲の人に助けを求めても大丈夫です。
(ちなみに、三角表示板を車に搭載していないと違反点数1点です。)
死亡事故のひき逃げの検挙率は100%とも言われています。今日日はどこにでも防犯カメラ等があり、逃げられないので絶対に逃げないようにしましょう。
やってしまいがちな、ひき逃げ
上記のことはご存じの方も多いと思いますが、知っていながらもひき逃げをしてしまうケースがあります。それは怪我が軽度な場合です。特にあるのが学生さんなどが相手で、自動車と自転車が軽く衝突し自転車側がころんだ時、学生さんは「大丈夫です~」と言ってその場を去ってしまうケースです。これを親御さんや周囲の人が通報し、ひき逃げと認定されてしまいます。実際にこのようにして警察に捕まった方も、僕の知り合いにいます。
「軽く転んだだけじゃないか」と思うかもしれませんが、ルールで決まっていること、後遺症となって症状が出る可能性があることから、どんなに軽傷でも警察への届け出、病院での診察はマストです。
相手方も大したことないので面倒がるかも知れませんが「法律だから」「後から症状が出る可能性もある」と説得しましょう。
まとめ
事故はいかなる注意を払っていても、発生確率を0にすることはできません。どんなに小さな衝突でも、現場を離れず、必ず警察に届け出る、これだけは覚えておきましょう。自分の身を守るの為なのはもちろんですが、被害者の為にもなるので。
以上、ここまでご覧いただきありがとうございました。
コメント