夫婦別姓に前進するかと思いきや…世界的に見て日本は遅れてる?

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2020年12月15日、第5次男女共同参画 基本計画の最終的な案が了承されました。

論点の1つが夫婦別姓に関する問題。現在、日本では婚姻時に夫or妻のどちらかに姓を合わせる夫婦同姓を強制していますが、別姓も認めるべきだとするものです。よく「夫婦同姓を強制しているのは日本だけだ」という声も聞きますね。
しかし、今回の結果としては夫婦同姓寄りの案が採用されることになりました。

今回は、夫婦別姓に関する第5次男女共同参画 基本計画のやり取り夫婦別姓のメリット・デメリット世界各国での婚姻時の姓変更について、わかりやすくまとめていきます。

第5次男女共同参画 基本計画をめぐるやり取り

男女共同参画基本計画とは

男女平等を実現するための計画

男女共同参画基本計画とは、男女共同参画社会を実現するためのものです。
この社会は世界的に実現が求められているもので、平たく言えば男女平等の社会です。

社会の実現には具体的な施策・方針が必要なため、日本ではこの社会を目指すことを男女共同参画社会基本法という法律で明言し、施策や方針を男女共同参画基本計画という計画を立案することで実現を目指しています。

一定時期で更新する

男女平等のあり方は、その時の状況によって解が異なります。

そのため、一定期間ごとに第◯次基本計画を立てて、その時代にフィットするものを採用します。
最近の計画は5年毎に更新しています。
(厳密には「10年分の基本的な構想+5年分の具体的な進め方」という形式)

第4次が2020年までの計画だったので、今回は5つ目の基本計画となります。

第5次の計画立案におけるやり取り

今回のやり取りを把握するにあたっては「第4次の現行計画」と第5次についての「12/04時点の案」「12/10時点の自民党修正案」「12/15に自民党会合で了承された案」の4つがわかれば良いと思います。
どれも長文なので、それぞれ要点をかいつまんでいきます。

第4次の現行計画(2015/12/25に決定)

女子差別撤廃委員会の最終見解なども考慮し、選択的夫婦別氏制度の導入などに関し、司法の判断も踏まえ、検討を進める

2015年の時点で夫婦別氏(夫婦別姓)に関する言及はある。

2020/12/04時点の案

国民の多様な声を真摯(しんし)に受け止め、「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、
婚姻前の氏を使用することができる具体的な制度のあり方について(中略)対応を進める

2020/12/10時点の自民党修正案

家族形態の変化及び生活様式の多様化、国民意識の動向なども考慮し、
選択的夫婦別氏制度の是非に関し戸籍制度と一体となった家族同氏制度の歴史を踏まえ、
また子供への影響や最善の利益を考える視点もじゅうぶんに考慮し(中略)検討を進める

夫婦別姓への反対意見となるような文言が追加された

2020/12/15の自民党会合で了承された案

夫婦の氏に関する具体的な制度のあり方に関し、戸籍制度と一体となった夫婦同氏制度の歴史を踏まえ、
また家族の一体感、子供への影響や最善の利益を考える視点も十分に考慮し(中略)検討を進める

ついに…夫婦別氏(夫婦別姓)に関する文言が消えた…!

…と、このような流れです。徐々に夫婦別姓への検討が薄れるような文言になってしまっているのは明らかでしょう。

立ちはだかる夫婦別姓反対派の壁

このような流れになったのは夫婦別姓に反対する人たちが自民党の中にいるからです。山谷えり子さんなどが、その代表として有名です。

「子供の氏(姓)の安定性が損なわれる」などとして、さらに会合へ反対派を動員するなどして議論を有利に進めたとされています。

これに対し、夫婦別姓の推進派からは「自民党が内部だけで秘密裏に決めて良い問題ではない」と怒りの声をあらわにしています。

一応は案の段階なので、世論などの反応を受けてどう出るか、最終的な決定までの今後の動向に注目です。

夫婦別姓のメリット・デメリット

夫婦別姓のメリット:利便性

夫婦別姓の主なメリットは生活面での利便性です。
夫婦姓による不便さと言い換えることもできます。

姓の変更に関する様々な手続きが不要になる

名前が変わるということは名前に関する持ち物も変わるということです。
夫婦姓の場合、身近なものだとクレジットカードや運転免許証などの変更手続きが必要になって煩わしさがあります。

姓に関して周囲が混乱しない

姓の変更に伴って周囲が混乱することを避けられます。
身の回りで聞いた例では夫婦姓によって姓を変更した時、昔の書類が旧姓で持ち主を探しにくかったり、電話の取り次ぎ相手がわかりにくかったり…などの混乱がありました。

夫婦別姓のデメリット:精神論

夫婦別姓の主なメリットが利便性なのに対して、主なデメリットは精神論によるものです。

家族の一体感がなくなる

夫婦や子供と姓が異なることにより、一体感がなくなる…とのことです。

子供がかわいそう

夫婦の姓が異なるということは、子供がいる際、子供の姓はどちらかの親と異なることになります。その際の子供の心境を訴えたもので、「姓が異なる方の親と疎遠になるのでは」という懸念の声もあります。

 

他にも「離婚のハードルが下がる」などという意見もありますが、これについては「結婚のハードルが上がる」とも言えるので表裏一体ですね。
(そもそも、姓の変更で離婚のハードルを上げる考えは如何なものかと…)

世界各国での夫婦別姓・夫婦同姓

世界的に婚姻時の姓変更がどのようになるのか、選択肢が多い国もあるので事実・習慣ベースではなく法律ベースでまとめます。

夫婦別姓が認められていない

日本、※タイ

なんと、有名な国の中で夫婦別姓が認められていないのは日本とタイだけです。
さらに、タイでは法改正が現在進行形で進められているので、上記で述べた「夫婦同姓なのは日本だけ」という意見はあながち間違っていないですね。

自分の姓のまま

韓国、モンゴル、ベトナム、ベルギー、メキシコ など

これらの国では結婚しても姓は変わりません。そもそも変更するという風習がないとも言えます。

別姓 or 同姓 を選択可能

シンガポール、インドネシア、エジプト など

これらの国では夫婦同姓か別姓かを選ぶことができます。ただ、別姓とするのが一般的なようです。

別姓 or 同姓 or 複合型 を選択可能

中国、南アフリカ、イタリア、ロシア、オーストラリア、ドイツ、ブラジル など

これらの国では上記の選択に加えて複合型を選ぶことができます。複合型というのは自分の旧姓と相手の姓を足し合わせたものです。
(例:山田 花子さんと田中 太郎くんだと、山田 田中 花子となる。もちろん、田中 山田 太郎もあり)

かなり多くの国がこれを採用していて、イタリアなどは法改正によってこの形になりました。

夫婦別姓のみ

カタール、カナダのケベック州 など

一方で夫婦姓にできない国もあります。上で紹介した「自分の姓のまま」とはことなり、法律で明確に姓変更が禁止されています。

法規制のない国もあり

インド、イギリス、フランス、※アメリカ など

解釈にもよりますが、これらの国では明確な法規制はありません。(アメリカは州によって異なります。)

一部の国では、一定範囲内の名前であれば子供に親とは異なる姓をつけても良いという国もあります。
本当に多種多様ですね。

…とこんなところでしょうか。
こうしてみると、日本がかなり特殊な国だと言うことがわかります。

海外の人にとって驚かれることも多いですし、国連からは「日本の夫婦同姓の強制は人権侵害だから是正すべき」という注意もされているようです。

まとめ

今回は夫婦別姓をめぐる日本でのやり取り、メリット&デメリット、他の国との比較などをまとめました。

個人的な考え

ここまでお読み頂いた方はおわかりだと思いますが、私個人としては夫婦姓を強制することに反対です。
利便性を重視する考え方なのもありますが、夫婦別姓にしたからと言って提出された案では同姓にできなくするわけではないのです。つまり選択肢が増えるだけなのです。

最終的に夫婦同姓、別姓のどちらが良いかを当事者で判断すれば良いのであって、それを関係のない他の人が縛り付ける夫婦同姓の考えは好みではありません。

…とはいえ、今の流れでは日本での夫婦別姓の実現は望み薄です。
夫婦別姓にしたい人は、自民党以外の多くが夫婦別姓を認める考え方をしているのでそういった政党に投票するか、事実婚と言った手もあります。
事実婚は法律婚ではないので、遺産相続など一部の点で不便はありますが、普段の生活では差し障りないそうです。

近年では事実婚が増えていますし、2020年01月の世論調査でも夫婦別姓を重視する人が2/3近くという流れなので、政府が夫婦同姓の考えを改めるタイミングは5年後より前かもしれませんね。

以上

 

 

 

 

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